サティシュ熱が覚めやらず、今日はNPO法人懐かしい未来が主催する東京の講演会に行って来た。会場は超満員。集まってくるメンバーがまたすごくて、トランジションタウンのメンバーなどロンドンから帰国後、ここ数年間日本でつながり合って来た仲間や、活動家の重鎮たちが来るわ、来るわ。素晴らしいポジティブな熱気に溢れかえっていた。サティシュは22日まで滞在されているけれど、私は今回はこれでお別れ。最後に固くハグして、連絡を取り合おうと約束して別れた。涙が出そうでした。(写真は、我が家でテラに絵本を読んでやっているサティシュ。それも私が5歳の時にアメリカで頂いたツリーハウスの絵本です!)
サティシュの魅力って何だろう?それはやっぱり、彼の存在そのものだね、と帰りの電車の中で友人と話した。いつだって寛容なエネルギー、絶大なポジティブさ(私は何事に対しても怒らないということを決めている、と今日の講演でも言っていた)、誰に対しても平等に接するあたたかさ。雑念を軽く飛び越えていつでもしっかりと大地に根を生やして軽やかに生きている。サティシュが我が家にいる間、そこは神聖な場所として輝いていた。サティシュの存在自体が、心を癒してくれるんだと再認識した。
今回サティシュがいたるところで発していたメッセージ
それは暮らしの芸術 Art of Livingということ
サティシュは言う
アートは美術館にあるものじゃない
毎日の生活、一瞬一瞬に宿っているものだ
呼吸すること、歩くこと、食べること、耕すこと
全てに美しさを見い出し、心を込めて行なうこと
私は全ての行為がメディテーションだと思っている
私は毎朝、一時間、妻と散歩をする
小さい時も、四季折々の花を見たり、虫を観察したりしながら
尊敬する母と良く一緒に歩いた
25歳の時には、ガンジーの墓からロンドンやワシントンまで
2年半かけて平和巡礼の徒歩の旅をした
歩きながら自然の美しさや尊さを学んでいる
特別な人がアーティストなんじゃない
全ての人が特別なアーティストなんだ
アーティストの能力をみんなが持っているのに
それを冬眠させてしまっている
目覚めさせるためには
私たちは自然との関係性を取り戻さなくてはならない
そのためにはどんなに忙しくても自然と向き合う時間を
日々の生活に持つことが大切だ
コンピュータの前で何時間も過ごすのでなく
意識的に時間を作って、無心に自然の中を歩くと良い
またアーティストでなくなってしまったのは
私たちが消費主義に支配されているからだ
消費やお金が、アートや想像力を奪ってしまう
生活に必要なものを買うのではなく
想像力を働かせ、手を動かし、喜びを感じながら作ろう
お金はものをやり取りするのに便利なツール
なのに今は地球がお金に仕えている状況
それを逆転させ、お金が地球に仕えるようにしなければならない
それから食べること
地球の現状を変えたいのなら、まず食生活を見直そう
食べることは、自然との関係性そのものだ
私は毎日、自分の畑から必要なものだけを収穫し
とびきり新鮮で愛あふれた食事をつくっている
私たちの命をつないでくれる食べるという行為は
最も神聖なこと
それをないがしろにしている生活を豊かだとは言えない
生活の中で自然とのつながりを取り戻し
「今ここにあること」に集中する生き方がアートだ
未来のあれこれを考えて不安になる必要はない
今の積み重ねが未来をつくってゆく
まさに今、無数の命があなたのために存在してくれているからこそ
今この一番美しい時がある
何日か一緒に過ごして、サティシュの言う Art of Living そして Live Now という教えは、彼の生活からにじみ出ていた。起きてから寝るまでの言動全てに愛がこもっていたし、サティシュの心は常に「今」にあった。食事はとても慎ましやかで、少食。日本語の「いただきます」とは「私の命を支えるためにつかえてくれた他の命に感謝する言葉なんですよ」と説明すると、とても感じ入っていた。畳の部屋に布団をひけば、リビングがベッドルームに様変わりすることとか、コタツカバーが布団に流用できることとか、なんて素敵なんだ!と感動もしてくれた。(狭くてものが少ないだけなのだけど)そしてお天気の良い日曜日、二人で銭洗弁天まで散歩し(健脚!)、お金を洗って浄化した。飾り気のない、石を掘り出しただけの自然の佇まいがとても気に入ったようだった。
サティシュは、そんなに特別なことを言っているわけじゃないんだ。でもそれは私たちが今一度、再確認しなくてはならないことだったりする。すごくシンプルで正しいこと。何か大きな事をやり遂げるよりも、まず生活自体に気を配ること。もっともっとスローダウンして周りを見渡し、一つずつに愛情を注ぎ慎ましやかな暮らしをすること。暮らしの芸術性を高めること。そのために自然と向き合うこと….
今年後半の一大イベントだったサティシュとの時が終わった。素晴らしい余韻を残して。明日から家族で伊豆へ。サティシュのメッセージをかみしめながら自然の中で愛する人たちと過ごしてきます。
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