とある日の朝。娘を保育園に送って帰って来た彼が持って帰って来たのは、この写真のティッシュ・ペーパーの山。なんでも住宅地のゴミ捨て場にこのままドサッと捨てられていたそうな。全く空けられていないまっさらの新品で、中を空けてみると変色もしていないし何の問題もなく使えるもの。それが20箱も捨てられているなんて!!!!一体何でそんなことになってしまったのか….考えれば考えるほど深い謎です。捨てちゃう人の気が知れない。我が家はティッシュ・ペーパー使うのも「資源の無駄!もったいない!」と、ボロ切れやタオルを使ってますが、当分の間は有り難くティッシュ・ペーパーを使わせて頂くことにしましょう。
その他にも、ゴミ捨て場から拾ってきて活用しているものが我が家には実は結構ある。ゴミ箱をあさってるわけではないんですが、ひょっと目につくんですよ。例えば写真の赤いやかん。可愛いでしょ?少しだけ柄の部分が黒くなっているだけで、まだまだ使えます。それから毛のあたたかな毛布。冬場は娘が寝る時にかけてあげていて、とても重宝しています。穴も汚れも全くない優れものです。その他にも、小さなタンスとか衣装ケースとか結構色々なものにおせわになってます。(先日遊びに来た友達が、「このやかん、うちと一緒」と言うので、「実はこれ拾ったんだよ」と言うと「私も!」と言ったのには驚きでした。そんな偶然があって良いのか!)
ゴミ捨て場からモノを拾ってくるって、これって全く自慢じゃないんですけど、だからといって、それを恥ずかしいことだとは私、全然思いません。中には誰かも分からない人が使ったものを拾ってくるなんて生理的に受け付けないって人もいるかもしれないけれど、私は全然気にしないし、むしろまだ使えるものを見つけ出して来て使い倒すって資源を大切にしてるでしょ?って胸を張りたくなる。(だからブログに書いています)得した気分もいっぱい(厳密に言うと、市が管理しているゴミ捨て場に捨てられたモノを拾ってくるのは違法なんでしょうけど)。
まだまだ使えるものがゴミ捨て場に大量に捨てられているっていうのは、何も私の住んでいる鎌倉に限った事ではなくて、モノが豊かにあって溢れている所では普通のお話のようです。このブログを読んで下さっている方には「私もある、ある!」という方が多いかもしれません。そして、こちらはイギリスの衝撃のミニドキュメンタリー映像。是非見て下さい!「グリーンTVジャパン ゴミ箱の中身」—>http://www.japangreen.tv/life/#/000162
モノが作られるまでに相当の資源を消費し、モノに寄っては飛行機で二酸化炭素をまき散らして運ばれて来たものを、手元に届くや否や、全く使用せずにゴミ箱へ放り込むなんて、本当に恐ろしい現実。「2050年までに排出量半減の目標」が洞爺湖サミットで決まったのは良いし、そのために日本は「環境技術」を駆使して資源効率化を図って行くんだろうけれど、本質はもっと違う所にあると思えてなりません。1人1人の環境意識が高まっていると言ったって、まだまだなんだなぁ〜とゴミ捨て場の現状を見て思います。
ではどうしたら良いのか?一つの答えは、先日、カナダ取材から帰って来た友達が教えてくれたサイト、“Work Less Party”が目指していること。ようは「働く時間を短縮しよう!」ということです。同様の啓蒙活動はアメリカでも行なわれていて、ちょっとしたムーブメントになっています。これってまさに本質をついていて、今のような忙しい生活ではなくゆとりの時間があれば壊れたモノを修理してもう一度使おうとか、リサイクルショップに持って行こうとか、手作りしようとか、給料も少ないから工夫して生活しようという暮らしにつながる。そしてもっと家族や友達と自然の中で過ごしたり、社会的に意義のある活動に参加したりすることで豊かさが再定義され、次から次へと買物して「流行にも遅れていない」自分を演出して、社会にしがみついて生活しないですむ。「資源を大切に!」って声高に言ったって、それを考えたり実践したりする時間がなければ意味ないわけですから、もっと根本的に忙しいライフスタイルを変える必要があると思うのです。
以前、報道機関で働いていた時は、本当に良く働いていて昼も夜もカレンダーもない生活だったので、全てのご飯はコンビニで、みたいなことも少なくなかったなぁー。それはそれで仕事に熱中していて楽しかったのだけど、服とか家具とかバンバン新品を買っていたような気がする。環境的にはNGですね。それに比べて今の生活は、子育てで忙しい時もあるけれど、基本的には在宅メインの好きな仕事をして、家族や友達との時間や料理をしたり自然散策したりすることにたっぷりと時間を使っていて、浪費せず、工夫を楽しむ豊かな生活。お給料も減ったけれど私はこの生活が好きだし、これぐらいスローペースの生活をしないと地球はもうもたない所に来ているから、好き嫌いの問題ではなく、覚悟の問題という気もしている。
そう「忙しさ」が全ての元凶。働けば働くほど、モノを生産し、生産すればするほど消費を促さるを得ず、そしてモノを生産すればするほど環境を痛めつける。環境技術は短期的には環境問題の特効薬にはなり得るけれども、長期的に見るとやっぱり商品を「効率的に」生産し、それを販売促進していくというループは変わらない。だから「働かない(働く時間を短くする)」という生き方を積極的に選ぶ人が増えれば、その分稼ぎも少なくなるかもしれないけれど、商品の生産量が減り、おのずと消費量も減る。
ゴミ捨て場からちょっと話がそれたけれど、企業のCSR活動に触れる機会があるたびに思うのは、皆さん社会貢献的なことはされているけれど、全然本筋じゃないと思わざるを得ないし、(例えば電気メーカーが、環境教育の授業をするとかね、やらないよりは断然良いとは思うのですが)それよりも経営規模を縮小してスモール・ビジネスにする、その分雇用者も減らして労働時間も短縮するぐらいの思いきったことをしないと、ごみ捨て場の現状も変わらないと思うのでございます、はい。それはとりもなおさず、経済界でいう「成長」という概念を考え直すということにつながるのだけど….そこが今までタブー、聖域みたいになっていたけれど、もうそこを抜きにして議論しても進まないと思う。
日本でも「なまけものクラブ」みたいな素敵な名称のNGOがありますが、「労働時間を短縮しよう運動」みたいなこと、やりたいですね!環境活動も小手先のものではなく、生活を根本から変えるもっと思想的なものが求められている気がします。
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