暑い夏のさなか。明後日からフジロックへ参戦で仕事もほぼ片付き、今日こそは以前から実行しようと思っていた「あること」を成し遂げる日と決めました。それは「1日20リットルの水で生活してみる」というエコ・チャレンジ!
コトの発端は、イギリスに住む友人が送ってくれた新聞記事。3月22日の「世界水の日」に合わせて、記者が行なったチャレンジの体験談で、普段なにげなく消費している水の大切さを実感しようというものでした。環境意識を高めるための生活に根付いた実践型の取り組みが大好きな私としては、これはやってみるしかない!と思い立ったのです。
まずは統計を少し。20リットルというのは、国連が定めた「飲み水と基本的な衛生状態を保つのに必要な1日の水の量。では日本人が1日平均してどれだけの水を使っているかというと、320リットル(国土交通省水資源部「平成17年度版 日本の水資源」より)。これに比べて20リットルで生活するということは、いかに節水しなくてはならないかが良く分かります。しかし発展途上国、特にアジアに住む11億人は20リットルすら確保できません。例えばカンボジアでは1人平均5リットルで生活している。一方、私たちはトイレの水を流すのに1日50リットルを使用している。1人当たり平均して一番水を使っているのは、カナダ。続いてアメリカ、イタリアで、日本は4番目。日本では世界平均の約2倍の水を使っているのだそうですよ。水道のない人は、世界中で20億人(実に3.5人に1人)。トイレのない人も世界で20億人という現実の中で….。
チャレンジを始める前に、自分が普段どれだけ水を使っているのか調べてみました。2ヶ月に一度送られてくる水道料金通知書から計算すると、我が家では1人160リットルの水を使用していることが分かりました。平均使用量の2分の1ですね。水道局に問い合わせて見ると「かなり節水していますね」と感心されました。えへん。秘訣は「トイレを毎回流さないこと」や「お風呂の水を洗濯に再利用していること」と思われます。
ではではチャレンジの全貌です。我が家は2人(+子ども)という家族構成なので、20リットル×2=合計40リットルの水で1日を過ごしてみることにしました。普段から節水を心がけているのに、普段の8分の1で過ごすことなんて出来るのかしら?ドキドキ、ワクワクで、はいスタートですっ!
朝起きて、20リットルの水を溜めます。今日1人が使える水はこれだけ。多いのが少ないのか、良く分からん。でも使える量をこうやって視覚化するとイメージが沸きやすいから大事だ。
10リットル入りのバケツを持ってみると、かなり重い。「アフリカの村では女性や子どもが水を汲んで数キロ運ぶ」という話を良く聞くけれど、炎天下で100メートルも歩いたら倒れてしまいそうだわ。
なんて思っていると、朝から娘が快便…。普段だとトイレを勢い良く流してその水でジャブジャブ布オムツを仮洗いして洗濯機に入れるのだけれど、今日はそんな贅沢は出来ません。バケツから水を少し頂いて手際よく洗います。でも汚れがちゃんと落ちているのか?心配になる…。水がない/少ないということは、衛生環境に大きく直結するんだということが良く分かります。
「家庭で一番水を使用しているのはトイレ」と聞いてから普段からトイレは毎回流さないようにしているのだけど、今日は特に気を使います。結局、今日1日で流した回数は2回。「大」と「小」のレバーを使い分けて、使用した水はおよそ11リットル。暑い1日だったけど、臭いはさほど気になりませんでした。
食器洗いなどで蛇口を1分ひねると(水量にもよるけれど)12リットルもの水が流れてしまう!意外に多くてびっくりです。なのでお皿を洗う時は「たらい」に水をためて洗うのはマスト。この日のお昼は蕎麦だったので、茹でた汁を再利用して洗い、ゆすぎには綺麗な水を使いました。「ピカピカにはなってないなぁ〜」と思いつつも、細かい事は気にしない。(うちはやらなかったけれど、太陽を当てて乾燥させ、自然殺菌すると効果的かも)結局、炊事で利用したのは10リットルでした。
体を洗うのも「たらい」を使用。ボディ・タオルで体を洗った後、綺麗な水を一度流すだけ。使用したのは1人6.5リットル。これだけで結構なんとかなるもんです。ちなみに5分のシャワーをしただけで60リットルの水を使います。「蛇口をひねると水が出る」って本当に便利だけれど、すごい水の無駄遣いにつながっている事だけは間違いないです。
そして洗濯機は水を使うので、洗濯は手洗い。これもたらいの使用が必須。たらいって結構エコな代物だと見直すきっかけになりました。使用水量は6リットル。しかし洗濯も手洗いだなんて、ほんとエコは時間がかかります。
というわけで、飲み水に確保していた2リットルと合わせて、1人20リットルギリギリで、ミッション・コンプリート!(内訳は;トイレ11リットル、シャワー11リットル、炊事10リットル、飲み水2リットル、洗濯6リットル。上手のグラフと比率はほぼ同じ結果になりました)
感想としては:気づかされることが本当に多かったということ。普段いかに水をたくさん使用しているかが良く分かったし、ちょっとした工夫で使用量を劇的に減らせることも分かった。水不足の地域の暮らしぶりが体験できたことで、水に対しての自分の向き合い方が大きく変わったようにも思います。これから毎日20リットルで…という生活を続けなくてすむことに感謝して、本当に本当に大切にお水を使って行きたいと思うし、このチャレンジで培った成果を生かして、これからも使用量が少なく済むよう生活していこうと思います。
今日の発見をまとめてみると….
・水が少ないイコール衛生状態が良くない生活環境だということ。(1年間に生まれるおよそ1億2000万人以上の子どもの半分がトイレのない家庭に、5人にひとりが、安全な飲み水へのアクセスのない家庭に生まれている。)
・蛇口をひねって水が出るのは、あり得ないほど便利なこと(スイッチをつければ電気がつくことも同じ)。その分、消費している水量もあり得ないほど多い。
・食器洗いや体を洗う際、「たらい」を使用すれば、劇的に水の量を減らせる。
・トイレで流れる水がいかに多いことか!しかも使用するのは綺麗な水。これは本当にもったいない。節水トイレがもっと販売されて普及されるべきだし、雨水を利用したり、流す回数を減らすなどの使い手の意識向上も必須。(究極の節水トイレはバイオトイレ。排泄物に木のチップやおが屑を混ぜる方式が主流。木の成分のおかげでちっとも臭わないし、残留物は堆肥として使えるそうです。)
・水をためておいて再利用するなり、手間をかければわりと使用量は減らせるもの。
「1日20リットルの水で生活してみるエコ・チャレンジ」ー実際にやってみると思った以上の発見があるし、ゲーム感覚で楽しめるので、是非みなさんも、忙しくない1日を選んでチャレンジして見て下さい。方法は、こちらの資料にまとめてみたので、ご参考に!実施した感想を教えてもらえると嬉しいです。こういう生活に根ざした実験って、子どもの環境教育にも良いかもね。ゴミとか電気とかでもやってみたいです。
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