今回のヨーロッパ滞在で、どこに一番多く行ったかって…それは「公園」。子供との旅は、ペースや行き先がこれまでと全く異なり、体験や生まれる視点も全く変わってきます。子育てって、ほんと今まで目にも留めなかった世界に自分を連れて行ってくれる新鮮な旅そのものですね。
私とテラの日課は、泊まっている家の近くに数多くある素敵な公園を探して、遊びに行く事。(これをしておけばテラも満足で、私の予定にもつきあってくれる☆)こちらベルリンのど真ん中エリア(Alte Schonhauserstr)にある、公園。すぐ近くにショップをかまえるオモチャ屋さんが、このエリアの子たちに遊び場を提供したい、と作ったそうな。ジャングルっぽい作りや、大人でも遊べる遊具満載。
こちらは、通称プレグナンシー・ヒル(妊婦さんの丘!)と呼ばれるPrenzlauer Bergにある公園。ベルリンはヨーロッパで一番出生率が高い所なんですって。その理由には色々とありそうですが(物価が安く子供にお金がかけられる、ドイツ人であれば政府からの潤沢な補助が出るなど)、街の至るところにあるハイクオリティーの公園の存在が、子育てを楽しくしてくれていること間違いなし。テラは毎日ウハウハしっぱなし。まさに公園天国!
こちらは通称「ジャングル公園」。父兄が空き地を共同購入し、子供が自由に遊べる場所を、と作ったところ。泥んこ出来たり、やぶの中を探検できたり、極力無法地帯な感じ。遊具も素朴な作りで、イマジネーションを喚起させてくれるものばかり。街中のそれほど広くない敷地だけれど、ここだけはファンタジーな世界とつながっていました。
こちらはチューリッヒの公園にて。子供騙しではなく、大人でも楽しめる遊具があるのが嬉しい。シンプルな作りながら機能的に作られているデンマークのコンパン社などが有名だそうですが、まさにアートの粋にはいっています。
公園は、子供を遊ばせる場のみならず、大人の立派な社交場。芝生でピクニックしながら、ビール片手に友人の輪がどんどん広がります。日本ではあまり見られない光景として、男性(パパ)が3人連なってバギーをひいて公園に来て談笑してる、なんていう姿もありました。ヨーロッパ(少なくともベルリン)では男性も女性も平等に(というか、気楽に楽しく)育児をすることは当然のことです。
ちょっと話はそれるけれど、ベルリンのステイ先のドイツ人カップルと話してたい時のこと。
「順子はテラが産まれてから、どれぐらい go out(デートしたり、友達と夜遊びしたり)してるんだい?」と聞かれ
「うーん。仕事で遅くなったり泊まったりしたことは何回かあるけど、純粋に遊びに行って遅くなったのって、一回ぐらいかなぁ」と言うと
「YOU ARE CRAZY!!!!! 僕たちは毎週金曜日はべビーシッターを雇って、2人でデートしたり、夜遊びしたりして遅くなるよ。子供ができたって2人の時間を大切にするべきだし、ソーシャライズ(社会との関わりをもってその中で遊んだり、自分を磨くこと)は、自分を成長し続けるためにすごく大切だよ。別々に行動することだって、いっぱいあるし、お互いのスペースをリスペクトしてるんだ。」
「そうだよねー。日本だとお母さんになったら少しは落ち着いて、家で子供の面倒みるのが当然、みたいな考え方がまだまだ社会的な風潮だったりするからね。「まだ夜遊びしてるの!少しは落ち着きなさい」と言う風になっちゃう。もちろん社会に出て仕事も頑張ってるワーキング・マムもいるのだけれど、そういう人もたいがいは「仕事と子育ての両立」といった汗水流す根性論の文脈で語られて終わってしまう。本当は、仕事と子育て以外に、「遊び」とか「恋」だってしっかりあって良いのにねー!」
…というわけで、「母ももっと遊ぶぞ宣言!」をしてヨーロッパをあとにしたのでした…
私の周りの子育て仲間を見てると、それぞれに面白いことを追求している人ばかりなのだけど、それでも子供が中心の時間や会話が支配しがち。保守的になってしまったり、「家族」という括りでしか行動できなくなってしまっていたりもする。
このことは日本に帰ってきて、色々な人と話すのだけれど、日本とヨーロッパの子育て(や自分の人生の組み立て方)の考え方の決定的な差だなぁと思う。日本は家族が出来たらファミリーが一番。母や父としての役割を全うすべきだし、そのために定職について安定した給料をもらって…というのが一般的。ヨーロッパはもっと個人主義。もちろんファミリーは大切なのだけど、その調和というよりも、組織を形成する個人に重点を置いている。
もっと自分(たち)のスペースや時間を持つことは、パートナーとの関係を健やかに保つためにもとても良い。ドイツのあるカップルなんて「いつまでも恋人同士でいなさい」って言ってご両親が毎週のベビーシッター代金をプレゼントしてくれてるんですって!なんて分かっているご両親さま!一緒にgo outしなくても、(今回の私のように)パートナーとはしばし離れて旅行してみることで風通しが良くなってお互いの関係を確かめ合えたりもする。所詮、他人なんだから四六時中ずっと一緒にいたら疲れちゃうし、子供がいるばっかりに「家族」ってことで、何もかも一緒にする必要なんてない。現に最近、鎌倉では「別行動」が流行っていて、旦那はこちらで夏休み、奥さんと子供はこちらで夏休みを思い思いに過ごす…なんていうケースが多い。それでいいんだと思う、それがいいんだと思う。
うちは結婚してなくて、つきあい方とか家族感とかまだまだ保守的な日本では型破りかもしれないのだけど、イエローさん(パパ)との関係は良いし、あえて自分たちの方法を実験中ってとこ。親や社会からのプレッシャーがあって大変でしょ?と言われたりするけれど、自分たちが納得して幸せそうに自信をもって生きているので、プレッシャーはさほど感じない。社会の常識なんて時が経てばどんどん変わるもの。どんどん自分たち流に試したほうがいい。特にこの混沌としたご時世、働き方や住む場所は変幻自在になっているのに、どうもパートナーシップ(男女のつきあい)や家族ってまだまだ保守的。もっと自由であっていいし、私たち流に新しくデザインしていきたい。
だってさ、こんなことを日本に帰ってきて友達と話してたら「ありがとうー超タイムリーな話題!最近、倦怠期で離婚しようと思ってたぐらいだけど、子供もいるしどうしようって… 2週間ぐらい一人旅に出てみようかな!」みたいな友達が何人もいて驚いた。どうして結婚と離婚のゼロか100かっていう選択肢しかないんだろう?って思ってしまう。もっと柔軟な関係性を築いて行くのが良いし、そのためにはパパとかママとか以前に、男や女として、一人の人間として成長していくことが大切なんだと思う。
…と完全に話はそれた。
とにかくヨーロッパの公園は、大人も子供もゆったりのびのび外面も内面も成長できる場所です、ってことで!鎌倉は海も山もあるし、人は優しいし、最高な子育て環境だけどね。でもシティーライフも子育ても楽しみたいと思ったら、やっぱりトウキョーではなくベルリンとかのヨーロッパの街なんだろうな。
水場が多いのも特徴。子供は水が育てますからね。ヨーロッパの公園、分かっていらっしゃる。
そんなことをつぶやいていたら鎌人市場で、関東学院大学の中津さんというファンキーな不良准教授(自称)と知りあい、その方が公園を専門にしていらっしゃったり、世田谷の羽根木プレーパークにも関わっていらっしゃるということで、色々教えて頂いた。まず日本とヨーロッパの法律の違い。公園で何かしらの事故が発生した場合、ヨーロッパでは当事者責任になるが、日本では公園の管理者責任になるから、思い切ったことが出来ない。そもそもヨーロッパでは公園が「コミュニティーのコミュニケーションの場」という位置づけであるのに対し、日本では「避難所」という位置づけなんですって。考える根本が違います。
今日、娘が通うぴよぴよ保育園の園長と話していたのだけれど、子育てって、ほんと自分の将来を作って行く作業でもあるんですよね。子供たちが将来を作って行くんだから、彼らをどう育てて行くのかは、将来を育てて行くことと変わりないわけです。だったら、もうちょっと手厚く子育てしようよ、と社会が気づいて当然だと思いますけど。鎌倉でもフリースクールを作ろう!なんていう話もチラホラ出ていたりします。
日本ももっとヨーロッパの公園&子育てに学べ!ということで、次回は「ヨーロッパ公園巡りの旅」なんて企画できたら、最高です☆
ついでにgreenzの広美ちゃんが取材した、バリのグリーンスクールの記事、それからピースボートの船の上にモンテッソリー保育園を作った小野寺愛ちゃんのブログも、ご覧あれ!
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遊びの価値と安全を考える会
大月書店 1998-06 |
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