タイ北部の山々に囲まれた美しい場所に、パイという小さな町があります。チェンマイからバスで3時間。のどかであまり観光化されていないことから、近年では自然と共生した暮らしを求めて多くのトラベラーが訪れ、中には気に入って住み始める人もいて、みんな自分で家を建てたり、ヨガや太極拳(taichi)を習ったり教えたり、有機野菜を栽培したり、オルタナティブでインターナショナルな文化のある居心地の良い町です。 わたしたちは町から6キロ離れた山の中にある、「タコメパイ」というビレッジにやってきました。ラオスを旅していた時に友達になったオーストラリア人が「あなたたちだったら、あそこに行ったら面白いと思う」とすすめてくれたのです。
「タコメパイ」はサンドットというタイ人のおじさんが20年以上前から一人こつこつとジャングルを切り開き、米や果物を育て、身の回りにあるものだけで家や道具を作り、たくさんの人たちを招いて森とともに生活する工夫を学べるように作り上げてきた所。サンドットはなんでも知ってる、まさに師匠!マスター!
タコメパイには日々、たくさんの人がやってきます。長期滞在者も一日だけのステイの人も、みんなで協力しながら田畑を耕し、自然と共生する暮らしを学び合い、ご飯を作り、音楽を奏でながら生活している、とてもユニークなコミュニティーです。
敷地内にある竹作りのバンガローを借りて、わたしたちもしばらくここで生活してみることにしました。ここが取りあえずの私たちの家。大人も子どもも毎日がたくさんの学びの連続!めまぐるしい日々を過ごしています。
初日は早速、タコメパイからほど近くにサンドットが購入した山へ。一面、ジャングルと丘が広がるエリア。ここに新しくエコビレッジを作ろうという構想で、まずはダム作りから!川をせきとめ、水を貯えて、あたりに果樹を植えるという計画です。ダムは古木の上に、大きな枝や葉っぱを重ね、石を大きい順に積み上げ、その上に砂、そして泥を重ねます。大変な作業だけれど、みんなでやれば作業も早い!
この山が果樹を植えるところ。山がはげてしまっているのは、前の持ち主が山焼きをしてしまったから。山を焼いて農薬をまいて手っ取り早く土壌を作って作物を育てて現金収入を得る、というのが残念ながらここら辺でみんなが行なっている商業農法。そうではなくて、自然のあるものだけでコンポストを作り、ダムを作り、果樹を植えてジャングルを再生させれば、ずっと森と共生していけることをサンドットは実践しようとしています。それがまわりのタイ人にとってもいい教育につながるから。
お昼はこれ!サンドットの田んぼでとれたお米だけを持ち込み、火やお皿は全部、森の恵みで作ります。竹を切り出し、お鍋やスプーンやお皿やちょっとした籠など、なんでもひょひょいと作っちゃう。
おかずはタケノコと自生している野草。カナダ人のシャーロットと、チリ人のナラが準備してくれています。彼女たちも1ヶ月ほど滞在中。
お米が炊けた!野生のマンゴーをそえた森のランチ。美味しかった!
昼ご飯を食べたあとは、苗を保護するひさしを作りました。竹を細くさいたものを編み合わせ、大きな葉っぱをはさみ、竹ひもで縛ります。こうやって何でも本当は手作り出来ちゃうんだよなぁ、といちいち感動してしまいます。確かに時間もすごくかかるから、この作業をしていた時は、「あぁー大変。気が遠くなるわー。何やってんだろう?」とも思ったけれど、こういう無意味というか別に稼ぎにもならないこういうことを飽きずに毎日きちんとやる、そこに喜びを見出すことが、実は一番大切なんだよなぁー、こういうことなんだよね、という妙な悟り感がありました。メディテーションみたいな作業でした。
夕飯はタコメパイに帰って来て、みんなで自炊。これが我が家のキッチン!薪も慣れればなんてことない。冷蔵庫と小さな灯りは、一応あります。
敷地内には、豚やにわとりやあひるや犬や猫がいて、子どもにとっては動物と暮らせるパラダイス。家にはホタルが入ってくるし、本当に自然に抱かれて暮らしているみたい。その分、サソリやへびやむかでもいるから注意しないとだけでねぇ〜。
残念ながら、タコメパイではみんなのお腹をいっぱいにする食糧はまだ収穫出来ていないので、3日に一度ほど街に買い出しへ。
滞在費は、一人一日三食込みで、400円ほど。長期割引やスキル割引もあります。7月15日〜28日にはパーマカルチャーデザインコースもあって、受講料も2週間で6万円と、この手のコースでは破格の値段のよう。
わたしたちもまだまだお迎えしてゆっくり案内できるほど余裕がないけれど、誰でもウェルカムなコミュニティーだし、パイの町も面白そうなので、長期でも短期でも是非とも遊びに来てください!Air Asiaで、片道25000円ぐらいで羽田からチェンマイへ。そこからバスで3時間です。
ただしサソリやムカデや蛇などの虫もたくさん出るし、日本のように何もかも整っていないので、かなりのサバイバル生活です。私たちも今後どうなるか分からないけれど、取りあえずタコメパイで暮らし、森の中での生活を楽しんでみようと思います。
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