WCの初の大がかりの環境対策「グリーンゴール。」さて、その実態は?日本vsオーストラリア戦が行なわれた街、カイザースラウテルンでの「グリーンゴール」レポートです。
ドイツ南部の中心都市、フランクフルトからローカル線で西へ1時間半。豊かな森を抜けると、小さな街カイザースラウテルン(Kaiserlautern)に到着。人口10万人というから決して田舎という感じでないのですが、森に囲まれた本当にこじんまりした街という印象です。
近代的な駅を降りるとすぐにボランティアの人たちがいて、日本語と英語で応対してくれました。とても親切。でも、ほとんど誰も「グリーン・ゴール」についてはご存知ないようです….。
待中を歩いて、スタジアムに歩く途中、ありました。まずは分別ゴミ箱。
分かりやすいイラスト付きです。
それからPark&Rideのバスも走っています。近くの駐車場に車を止めて、そこから乗り合いの専用バスで来れば、空気も綺麗だし、街中の交通量も減るし、駐車する場所を見つける大変さもないから運転手にも楽チン。すごくいい試みですよね。もっともこれはこのカイザースラウテルンで普段からちゃんと実践している公共サービスです。結構使ってる人も多いようで、よく機能していました。
「グリーンゴール」では「大会中に使われた二酸化炭素の
二酸化炭素の排出量をチャラにする」ことを目標にしています。ソーラーパネルなどの自然エネルギー源を導入したり、途上国に植林をすることにしています。(これをCDM(Clean Development Mechanism)と言います。)なので車ではなく、公共交通機関の利用を促進する対策をしているんですが、「試合のチケットを持っている人は、当日に限り公共交通が乗り放題になる」という配慮もありあました。チケットの右隅に小さく記述があるんですが、見えないかな?もっとも、これも知らない人が結構多かったみたい。「グリーンゴール」は広報に問題あり、って感じでしょうか?
さて。「グリーンゴール」には直接関係ないけれど、道ばたにはドイツだったら何処でも見られる、ソーラーパネルで駆動する駐車券の販売機も。(写真左)そして人口10万人とこじんまりした街なのに、オーガニックショップがちゃんとあるのは、ドイツらしいです。(写真右)でもこの街に以前あったソーラーパネルの工場は、労働賃金の安い中国や東欧に移ってしまったそうですよ。
さぁ、カイザースラウテルンでの「グリーンゴール」の目玉と言えば、やっぱりこれでしょう!スタジアムに取り付けられたソーラーパネルです。何てたって、今回の開催都市12都市の中ではもちろんのこと、ドイツにあるスタジアムの中でも、最も大きなソーラー施設なんですって。によると、屋根には5000モジュールが取り付けられ、年平均72万KW/時を生産し、これは200世帯の電気をまかなうだけの発電量に相当するそうです。全パネルの重さに屋根が絶えられなかったので、パネルのフレームは重量の軽いアルミに取り替えるという工夫も。設置費の400万ユーロ(6億円)は、売電して回収して、チャラにする計画だとか。このパネルのおかげで、年間500トンの二酸化炭素排出を削減できる計算なんですって。
そして何といっても私のお気に入りは、このリフィルカップでした!!!これ正確には分からないんですが、一個0.8ユーロぐらいで引き取ってくれるんですよ。って言う事は、120円ぐらいですからね。捨てたもんじゃありませんっ。
みんな、とにかく良くビールやらコーラやら飲むので、これはゴミを減量するのにはとてもいい試み。でも、これも知らない人が多いみたいで、試合が終わった後には、スタジアムにたくさんカップが残されていました。そこで試合後にカップを集めて持って行ったら(いやしくも?いえいえこれも環境のためですっ!)15ユーロ(2000円以上)にもなりましたぁ〜。うふふ。他にも山のようにコップを集めていた人がいたのにはウケました。
というわけで、個人的にはとても興味があって楽しみにしていた「グリーンゴール」でしたが、実際に会場で目撃出来た試みはそう多くなかった、お客さんにも主催者にもあまり知られていなかった、というのは少々残念なところでした。それでも、「リフィルカップ」なんかは普通に日本のイベントでも定着すると良いなぁと思いました。そして、車の排気ガスでいやな思いをすることもなかったし、会場に残されたゴミも少なかったし、快適に過ごせたカイザースラウテルンでの数日でした。
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