コロナ哲学と、病床中に役立ったこと

2021年7月25日に発症し、今日で22日目。ずっと自宅療養でしたが、ようやく体力、気力とも95%ぐらいまで回復しました。今は喉のつっかかりと、夕方になると疲れが少しあるぐらい。中症の部類だったと思いますが、いやぁー長かった。とんだジャーニーでした。

そこで、こんなこと書くのもなぁと思いましたが、発症して心細く感じている方の参考になればという気持ちと、備忘録として残します。というのも、私としては、かなり深い得難い経験だったもので......。「コロナ哲学」とさえ、名付けてしまいました。

(これはあくまでも個人的な体験ですし、医学的根拠があるものではありません。実はPCR検査もしていません(詳しく書かないけど、いろいろ事情もあって)。でも症状は、巷で言われるコロナそのもので、間違いないです。症状はそれぞれ個人差がありますので、どうぞ慎重にお医者さんとよく相談して経過観察をされて下さい。)

くれぐれもうつらず、うつさずが大事!かかってしまったら、経過観察をして根気よく治しましょう!

コロナ哲学

今回の発症を通して、レジリエンスを高める大切なポイントを体感できたのは、せめてもの救いです。レジリエンス(resilience)とは、自発的治癒力。何かストレスがかかった、不意の事故や想定外の困難が起こった時に、どうやって自分を立て直すのか、その回復力や復元力のことを指します。

仏教では「人生の苦痛を避けることはできない。それは必ずやってくる。でもその苦痛への対処法を変えることはできる」と言われます。まさにそうだなぁーと思います。時を同じくしてIPCCのRed Code for Humanityも発表されました。不確実な時代に生きる私たち。コロナに限らず、激しく変わり続ける時代に、しなやかに順応しベストを尽くして生きるには?

「呼吸」が驚異力 breath is THE superpower

人間、呼吸をしないと生きていけません。私たちは、生まれてから死ぬまで呼吸していて、その数、一日23000回ほど。でも自動的にできてしまうからこそ、普段はあまり気にもとめません。

コロナは肺を患う感染症なので、かかると肺が命取りです。私の場合、普段から呼吸を意識していて、呼吸の軌道や身体の動きへの観察眼が冴えているのが「大丈夫」というバロメーターとなり、辛い時も生き延びていく自信になりました。「お腹まで深く呼吸が入っている(チェック)」「肺が四方八方に広がっている(チェック)」という感じで、過ごしていたのが常に安心の元となりました。

深い呼吸以外にも、いろいろな呼吸法を試しました(例えば、ブテイコウ呼吸法)。呼吸は、命のエンジン。普段から呼吸のアートをマスターしておくことは、コロナのような呼吸器系疾患時だけでなく、命のパルスを自己探知するために役立ち、命綱になると確信しました。

リラックス 3.0  master deep level of relaxation

発症中は、最初のうちは熱(私の場合は、37℃台から上がらなかったのですが)と、その後は、長引く倦怠感(だるさ)でなす術もなく、ただ横になっているだけ。私のように常に動き回っていたい人間は、ヤキモキしたり、イライラしたり、いつまで続くのかと悶々としたり。

そんな中、この1ヶ月弱で一番学んだのは、リラックスの方法です。今までリラックスって「心配事をちょっとわきに置いておいて」とか「体の力を抜いて」とか「気分転換」ぐらいにしか思ってなかったんです。でももっと実に奥が深い!

私はInsight Timerという瞑想アプリで、ヨガニドラ(眠りのヨガ)やdeep relaxationの瞑想ガイド(英語。日本語のものはあまりまだないです)を起きている時はほとんどそれしかしてないっていうぐらい多用していたんですが、奥深いリラックスの世界は、初めて経験する感覚でとても新鮮でした。深くリラックスするアートを学んだのは、今回、本当に大きな収穫でした!特に鍵は、「吐く息のラスト1秒」と「身体へのすみずみとした意識」。

脳の伝達経路、ホルモンバランス、神経回路、生理機能、メンタルヘルス。全てを整えるのに、リラックスは欠かせない。普段から自律神経のバランスを欠く人が多い中、これからはますますリラックスのアートこそ、ウェルビーイングを高めてくれる大事な要素と確信しました。

手放し明け渡すアート   art of letting go and surrender 

身体のリラックスと、心のリラックス。双方にとって欠かせないのが、ただ起きていることを全身全霊で受け入れ、そこに立ち向かわずあらがわず一切のコントロールを手放して、大いなるものに全てを明け渡すこと。全体性に信頼を寄せて、ポカーンとしてること。

私は途中から「回復すること」さえも、手放しました。でもこれは後から考えたら、回復するようもっと気合を入れても良かったのかもなぁー、と思っています。内なる自然治癒力が高まるよう念じつつも、招かざる結果になったとしても、必要以上に落胆せず、執着せずによしとする。そこら辺のバランスの取り方も、さらに修行が必要だなぁ、と。

コロナウィルスは、本当にしつこく症状が長引きます。思うように回復しなくても、「そういうもんなんだ」と受け入れ、気を落とさずに流れに逆らわないことが大事。何があっても、受け止める度量と覚悟と信頼。好奇心さえ、そえて。これはどんな人生の災難に対しても言えること。

全てのものとの共存・共生・共創  co-existing, symbiosis, co-creating 



辛いな、嫌だな、悲しいな、情けないな、心配だな、飽きたな。そんな気持ちさえも、押しやらず、感じないようにするのではなく、受け入れ、共感し、そこにいさせてあげる。意見の対立し合う人同士も、同様に。

これにはNVC(非暴力コミュニケーション)のプラクティスガ大いに役立ちました。後半、少し元気が出てきたら、ジャーナリング(自由に気持ちを書き出すフローライティング)もしていましたが、これは気持ちを整理し、じっと見つめて味わうのに役立ちました。

途中からコロナウィルスさえも敵にせず、体の中で共存しようとつとめていました。なんだか人類の新しいリアリティーに直面している感じ。こうやって人間は無敵になり、順応性を高めて進化していくのだろうか?

自分の神に、自分が出会う  holding space for yourself 




結局、最後は、自分頼み。体力、精神力、免疫力、気力。全て内なるリソースを信じて歩むしかありません。自分が自分をとことん信じて、ファシリテーションしてあげることが大事です。「今、どんな気持ち?」「そうかぁー、辛いよね」「呼吸はできてる?」「今、何が一番大事?」「じゃぁ、こうしてみようか」という風に。

何も頼るものがない時に、自分が自分の一番の応援団長として、安心、安全な場をどう確保してあげられるか。セルフラブ、自己共感のレベルを普段から深め、いざという時に頼れるようにしておいてよかった、こういう時に頼れるよう、さらに自分とのつながりと信頼を深めていこうと思いました。

スローダウンの美学  slow is f*cking beautiful



何はともあれ、スローダウンして、時間をたっぷりかけて、身体感覚を頼りに内側に入っていって、第六感を研ぎ澄ましてく。味覚や嗅覚がなくなった時も、視覚や食感などほかの感覚に最大限の意識を向け、過去の記憶も辿っていくと、かすかな感覚が味わえる。それって全部、本当にゆっくり「今ここ」を味わうことをとことんしていくことで、初めて可能になるんですね。

外側の世界の刺激に応えたり、いちいち反応反発するのではなく、一番ここにいる自分を疎かにしない。いつだって意識の向ける方向は、内側です。こういった大きな病気にでもかからないと、スローダウンできない質の私....。当たり前のことなのに、いつも一番難しい。完治しても、何度でも思い出したいコロナ教訓です。

役立ったもの

  • とにかく休む。絶対やらなくちゃならないことなんて、わりとない。
  • おばぁちゃんの知恵袋的な、基本的な養生(はちみつ大根、レンコン、葛湯、温熱湿布、足湯など。素晴らしき日本の知恵!)

  • 自分を整えるこれまでのプラクティス全般
    コロナは(医療介入が必要な人は別にして)、自宅では特にできることはありません。だから結構、心のケアを長期的にやっていかなくてはならない。だからこそ、今まで実践してきた内側を整えるプラクティスの数々が大いに役立ちました。瞑想、さまざまな呼吸法(ブテイコウ呼吸法ブレスワークなど)、NVC(非暴力コミュニケーション )、感謝の気持ち、ジャーナリングなど。こういう時のためにセルフケア・ツールは、常に磨いておきたい。

  • 家族の愛と心からのケア
    最後にやっぱり、愛とか念とかお祈りとかレイキとか、目に見えないフォースになるんですかね。どれほど助けられたことか!

  • 毎日欠かさず友人たちと安否確認をおこない、つながり合っていたこと
    毎日欠かさない安否確認や励まし合いメールや、電話、clubhouseでの仲間との他愛もないおしゃべり、甘えさせてもらって話を聴いてもらったり、涙を受け止めてもらったり。人のつながりや人のぬくもりに、心から感謝しています。

  • お気軽な映画鑑賞や、くだらない話で笑うこと
    笑いは栄養、笑いは薬!なーんにも考えないでいいお気楽な映画を見たり(私は、HANGOVERを勧められて見ていた)、くだらない駄洒落やなぞなぞなどで友達と笑い合ったり。深刻な時こそ、気持ちを軽くしてくれます。

  • インターネットOFFタイム
    本読んだり、ものを書いたりする気力がない時は、どうしても寝ながら、だらだらとSNSのスクロール......となりがちだったので、後半はネットの利用を制限しました。これは本当によかったなぁー。マインドと心と時間に余裕をもたらすには、いつだってこれが一番!

あったら良かったなぁ〜、と思うもの

  • パルスオキシメーター(酸素飽和度を測る、小さな機械。5000円ほどで購入できます)
  • 感染者のオンライン・サポートグループ
    大変な時こそ、似たような境遇や超えた人とつながり合える場があったら、心の支えになると思うなぁー。もう多分あるのだろうけれど。

感染された方、不安や憤りや申し訳なさ、辛さや悲しみなどなど、心も体もいろいろと経験されていらっしゃると思いますが、必ずや!これを克服した際には、より広く深く健康な心と体になっていると信じています。どうぞどうぞ充分にご自愛くださいませ。

今回、コロナ感染してしまったのは、私の対策不備や不運としか言いようがないし、迷惑をかけてしまった方には心よりお詫びします。そんな中、発症したからこそ経験できたこともあるのも、確か。起こることには全て意味がある、とは思わなけれど、起こったことに対する自分の反応は自分で決められて、意義深いものにすることはできる。とにかく深く豊かで有意義な学びでした。すべてに感謝。LIFE GOES ON. 

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