毎週月曜日午前9時からのオンライン瞑想会、Mindful Monday Morningでは、毎月異なるテーマで瞑想を深めていますが、9月は般若心経をみんなで学び、唱えています。
コミュニティーで、深くて楽しい学びを進めていますが、そのまとめとして、ここに「imakoko流、般若心経解説」を掲載しておきます。意味が理解できることで、お経を唱える時、さらに深みが増します。日本人であれば、仏教の中でも一番人気があり基本的なこのお経を知っていたり、覚えていて唱えたりできると、良いですよね。
自分の覚書ですが、ほかの方の参考になれば嬉しいです。
般若心経(はんにゃ しんぎょう)= 智慧(ちえ)の心経(教え、スートラ)
(はんにゃ prajna はらみた paramita 心経 heart sutra)
◉「般若(はんにゃ)」とは、インドの古い言葉、パーリー語で、「prajna」。音写(海外の言葉の発音に近い漢字を当てはめること)なので、「般若」という漢字自体に意味はありません。prajnaの言葉の意味は、 「智慧 wisdom」。「知恵」が世間で言う頭の良さ、判断力だとしたら、「智慧」は心が磨かれた人格が高く輝いている人が持っている、全ての事物や道理を明らかに見抜く深い知恵のこと、と言えます。
次に「波羅蜜多(はらみった)」とは、「paramita」。これも音写です。意味は、 完全な習得、完成の意味。 perfect understanding。また悟りの彼岸(迷いのない心やすらかな境地)に到達する、と言う意味もあります。
なので、はんにゃはらみった = 智慧の完成 = 悟りに至るための完璧な智慧のお経ということです。もうこれだけで、なんだかありがたみが増しますよね。
◉般若心経は、インド、中国、日本、ベトナム、韓国、チベットなどで唱えられ、日本には 玄奘三蔵法師 ( げんじょうさんぞうほうし ) が中国から持ち帰ってきました。262文字。真言宗、天台宗、禅宗など多くの宗派で読まれています(浄土宗、日蓮宗では唱えられません)。
◉般若心経は、「空」と言う仏教の基本的な思想を経典としたもの。空(くう)=全てが因縁によって生じていて、実態がないということ。これを「観音菩薩さん」と「舎利子さん」というお弟子さんのかけ合いのような物語で綴っています。かなり親近感が増しますね!
では一言一句の解説です。
◉仏説 摩訶 般若波羅蜜多 心経
(ぶっせつ まか はんにゃはらみった しんぎょう)
「摩訶」は、「偉大な」を意味するサンスクリット語「maha」の音写で、「大」「多」「勝」とも漢訳され、「大いなる」「非常に」「優れている」という意味。
仏さまが説いた、偉大な彼岸に到るための智慧のお経
◉観自在菩薩 行深般若波羅蜜多時
照見五蘊皆空 度一切苦厄
かんじざいぼさつ ぎょうじんはんにゃはらみったじ
しょうけんごうんかいくう どいっさいくやく
観音菩薩=観音さま=人々の苦しみの声を聴いて、救いを与えてくれる菩薩
五蘊とは、form 色 (肉体、物体)/ feeling 受 (感情、感じること)/ perception 想 (想像、思うこと)/ mental formatoin 行 (行なうこと)/ consciousness 識 (意識)
観自在菩薩が、深く悟りに至るための智慧を行じていた時に
五蘊(全てのもの)は、空であると照見(明らかにみきわめた)
そして全ての苦しみを、悟りの世界に渡してしまわれました
◉舎利子 色不異空 空不異色 色即是空 空即是色
受想行識 亦復如是
しゃりし しきふいくう くうふいしき しきそくぜくう くうそくぜしき
じゅそうぎょうしき やくぶにょぜ
舎利子(お釈迦さんの古い弟子)さんよ、
色(物体)が、空と異なることはないし form is emtpiness
空という大原則が、物体(色)を形作っている emptiness is form
(つまり、この世のあらゆるものには実体がない。物体はさまざまな条件=因縁の集合体である)
それは 亦復如是(やくぶにょぜ)=かくのごとし
肉体や感覚(感受することも、思いを巡らすことも、分別することも、認識することも)でも、全て同じで、全てに実体がないのです
◉舎利子 是諸法空相 不生不滅 不垢不浄 不増不減
しゃりし ぜしょほうくうそう ふしょうふめつ ふくふじょう ふぞうふげん
是諸法空相 =(この諸法は、空の相だよ)全ての本当のありようは、空なのだよ。全ては様々な条件によって成り立っている
不生不滅=生じることも、滅びることもない
不垢不浄=汚いも、綺麗もない
不増不減=増えることも、減ることもない
だからこだわることは、何もないのですよー
◉是故空中 無色 無受想行識 無眼耳鼻舌身意 無色声香味触法
無眼界 乃至無意識界
ぜこくうちゅう むしき むじゅそうぎょうしき むげんにびぜっしんい むしきしょうこうみそくほう
むげんかい ないしむいしきかい
是故空中 (前文を受けて)
これゆえに、空の世界では
全ては空である、実体がない、と言う境地からすれば、
無色 無受想行識
form 色 (肉体、物体)/ feeling 受 (感情、感じること)/ perception 想 (想像、思うこと)/ mental formatoin 行 (行なうこと) /consciousness 識 (意識)
体も感覚もイメージも連想も思考もありません。
体の器官ー六根(器官) 眼、耳、鼻、舌、皮膚、心
対象物ー六境(対象) 色、声、香、味、触、法
イメージや連想や思考ー六識(心の領域)眼識界~意識界
目・耳・鼻・舌・皮膚といった感覚や心もなく
色や形・音・匂い・味・触感といった感覚の対象
見たり、聴いたり、嗅いだり、味わったり、触ったり、思ったり、、、
目に映る世界から、心の世界まですべてあり ません
毎日行なっていることだけど、全部、実態がないことだから、
迷っても仕方ないし、そんな分析をするよりも、こだわらずに生きるのですよー
◉無無明亦 無無明尽 乃至無老死 亦無老死尽
無苦集滅道 無智亦無得 以無所得故
むむみょうやく むむみょうじん ないしむろうし やくむろうしじん
むくしゅうめつどう むちやくむとく いむしょとくこ
無明とは、迷い、無知のこと。悟りの対極。
十二因縁(縁起)とは、私たちの苦しみ迷いの12の原因、輪廻をもたらす十二の要素
無明、行、識、名色、六処、触、受、愛、取、有、生、老死の12個
1.無明(根源的無知)迷いの根本
2.行(行為)
3.識(意識)
4.名色(名称と形態)
5.六処ろくしょ(六つの知覚能力)眼、耳、鼻、舌、身、意
6.触(接触)
7.受(感覚)
8.愛(欲望)
9.取(執着)
10.有(生存)
11.生(誕生)
12.老死(老いと死)
老死をやめるためにはどうすれば良いのだろう。
そうか、生まれるのをやめれば良い。
生まれるのをやめるにはどうすれば良いのだろう。
そうか、存在するのをやめれば良い。
存在するのをやめるにはどうすれば良いのだろう。
そうか、執著するのをやめれば良い。
…と、このように分析していくと、最終的に
無明つまり、根本的無知もないことに行き着く
無知もないし、その無知が尽きることも無く
と言うことから始まって(乃至 ないし)
老と死もなく、老と死がなくなることもない
苦しみも、その原因も、それをなくすことも、そしてその方法もない。
知ることもなければ、得ることもない
かくて、得ることもないのだから
迷いの最初の原因である認識の間違い(無明)もなければ、それがなくなることもありません。同様に迷いの最後の結果である老いも死もないし、老いや死がなくなることもありません。苦しみも、苦しみの原因も、苦しみがなくなることも、苦しみをなくす修行法もありません。
◉菩提薩埵 依般若波羅蜜多故 心無罣礙 無罣礙故 無有恐怖
遠離一切顛倒夢想 究竟涅槃
ぼだいさつた え はんにゃはらみったこ しんむけいげ むけいげこ むうくふ
おんりいっさいてんどうむそう くうぎょうねはん
ボーディ・サトバ=菩薩(悟りを求めて修行する一方、苦しんでいる人を救おうとする人)
般若波羅蜜多(一旦彼岸へ渡るためのperfect understanding 智慧)に依るが故に
罣礙=心を覆うもの、妨げるもの
顛倒=逆さになった考え、夢想=現実を無視したイリュージョン
涅槃=ニルヴァーナ、煩悩の火が消された安らかな境地
究竟=たどり着く
このような境地ですから、菩薩様達は「智慧の完成」によって、心に妨げがありません。心に妨げがないので、恐れもありません。誤った妄想を一切お持ちでないので、完全に開放された境地にいらっしゃいます。
◉三世諸仏 依般若波羅蜜多故 得阿耨多羅三藐三菩提
さんぜしょぶつ えはんにゃはらみったこ
とくあのくたらさんみゃくさんぼだい
三世=過去、現在、未来
得阿耨多羅三藐三菩提(「アヌッタラー・サムヤック・サンボーディ」の音写)=この上ない正しく平等な目覚め(悟り)
過去・現在・未来のすべての仏様も、この“智慧の完成”によって、この上なく完全に目覚められたのです。
◉故知 般若波羅蜜多 是大神呪 是大明呪 是無上呪 是無等等呪
能除一切苦 真実不虚
こち はんにゃはらみった
ぜだいじんしゅ ぜだいみょうしゅ ぜむじょうしゅ ぜむとうどうしゅ
のうじょいっさいく しんじつふこ
ですから知らないといけません。「智慧の完成」は大いなる真言、大いなる心を明るく照らしてくれる悟りの真言、この上ない真言、他に比べるものもないほど素晴らしい真言、すべての苦しみを取り除く真言であり、偽りがないので確実に効果があります。
◉故説 般若波羅蜜多呪 即説呪日
こせつ はんにゃはらみった しゅ そくせつしゅわつ
それでは「智慧の完成」の真言を説きましょう。
その真言はこうです、、、
◉羯諦 羯諦 波羅羯諦 波羅僧羯諦
菩提薩婆訶 般若心経
ぎゃてい ぎゃてい はらぎゃてい はらそうぎゃてい
ぼじそわか はんにゃしんぎょう
gatiは「行く」「道」が原意。
gate gate paragate parasamgate bodhi svaha
paragate = gone all the way to the other shore
sam = everyone, entire community
Bodhi = the light inside, enlightment, awakening
svaha = Ah! hurrah! hallelujah!
行こう!進もう!苦しみから解放へ、心ここに在らずからマインドフルネスへ、二元論から無限論へ。みんなで行こう!完成された完全なる智慧よ、悟りよ、幸あれ!
かなり意訳ですが、、、そんな感じで、私は捉えています。
般若心経は、何もお葬式やお彼岸の時にだけ唱えるものではなく、毎日唱えても良いのです。私は事あるごとに唱えるようになって、なんだか心がふわーっと軽くなる~!そんないい効果を感じています。
おすすめのポイント
・お唱えする前、15分ほどの瞑想をして、心を鎮めてからだとなお良い
・一言一句、大切に扱いながら。スピードを上げる必要はない。
・意味が分からなくてもOK!言葉のエネルギーがあるから。
般若心経に出てくる、波羅蜜 paramita。仏教ではとても大事な概念で、完全なる理解、またはこちら側からあちら側(彼岸)へ行くための大切な修行とも解釈されています。その中でも、大乗仏教では、6つの波羅蜜があり、これを彼岸のころを中心に思い出してすると良いと言われています。
布施(ふせ)波羅蜜ー分け与えること。笑顔でも、挨拶でも!
持戒(じかい)波羅蜜ー自分ルールを持つこと。他人に迷惑をかけない。
忍辱(にんにく)波羅蜜ー落ち込まないで頑張る事。我慢と忍耐は違う!
精進(しょうじん)波羅蜜ー努力を続ける事。
禅定(ぜんじょう)波羅蜜ー心を安定に保つこと。精神集中。
智慧(ちえ)波羅蜜ー物事の真理を正しく見極めること。第三者的視点を持つ。
何はともあれ、日本に伝わる、人生をよりよく生きる素晴らしい智慧。般若心経をimakoko community で学び合えたことに感謝し (特に、大阪市生野区の幸教寺の住職、石原政洋さんご参加、感謝!)、仏教の教えをこれから生活の中にますます取り入れていきたいと願っています。
ともに!幸あれ!
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