6年住んだコスタリカの太平洋沿いの街ノサラから、人生、次のフェーズに進むため、一旦、日本に帰国することにした。大震災後、ノーマークだった異国の地にやってきて、最初の1、2年は様々な予期せぬことや生活環境に慣れるのに苦戦し、ほぼサバイバルモードだったけれど、その期間で学んだことも多く、「どんなことがあっても、自分次第」「今ここに、全てがある」という人生哲学は、これからも私の生き方の指針になると確信している。
中盤~後半にかけては、知り合いも増え、生活も安定してきて、娘とともに、大きく広く深く豊かに成長してきたと思う。デザートで言ったら、超濃厚なカカオ100%のブラウニーみたいな感じ!?ここでは、「幸せに生きる」ことに直結する、本当に大切なことをたくさん教えてもらった。
何と言っても、まずは大自然の力強さと、美しさと、はかなさとの一体感。一番最初に到着した日、海に行った時、「ここは恐竜が出没するんじゃないか」と思ったのを覚えている。全く手付かずの、太古から何ら変わらない大自然。大地、海、滝、雨、植物、動物、空気、太陽、月。自然界の全ての要素が色濃く、ビビッドで、圧倒的な生命力を持って、私たちを飲み込んだ。その安心感と言ったら!もう何もいらない、ただ生きていることに感謝、とにかく委ねて受け取る、という気持ちが、大自然の中で自ずと湧き上がる。
一方で豪雨、泥道、停電などなど、、、基本的な生活をする上でのチャレンジも多かった。物価は高いし、その割に高品質なものは全く手に入らないし、かなりプリミティブな生活。そしてこの6年の間にも、どんどん移住者が増え、開発が進み、特にゴミ問題が深刻になって、どこに行っても逃れられない、人間生活が自然に与える多大なインパクトも、かなり顕著に思い知らされた。利便さと自然の豊かさ。地球市民として、どんなバランスを心地よく思うか、それをどんな形で実践し、周りをインスパイアーしていくか。これまでの暮らしに迎合せず、ちょっと立ち止まって考え直し、一人一人が真実を追求していく必要があることだし、私自身も、これからもっともっと意識の高い選択をしていきたい。
ノサラの魅力と言えば、何と言っても、世界中から集まるコンシャスな人たちが、居心地の良いコミュニティーを作っていること。早起きして瞑想やヨガをしたり、サーフィンしたりする人がとても多いし、大自然の中で体を動かし、心を整え、「自分という大自然とつながる」各種のプラクティスをしている人がとても多い。だから、私もそんな日常が当たり前になって、あれよあれよという間に、気づいたら、心も体もマインドも、総入れ替えが起こってしまった気分だ。幸せで健康な人生を過ごす。大切なのはそれだけで、ほかはあまりいらない。
ここで私は、期せずして、最も東洋的な「瞑想」にはまる事になった。瞑想は日本に住んでいた時から、そしてタイに移住してからも深めていたけれど、こんな遠い世界の裏側の、瞑想と何ら関係のなさそうなコスタリカで瞑想が深まるとは!人生って、ほんとにとっても不思議だ。日本に夏、一時帰国するたびに、ヴィパッサナー瞑想に通っていた事にも起因しているけれど、コスタリカ生活では毎朝30分の瞑想が日課になったし、心を静めて「今ここ」にとどまることが、どんなに大切なことか、ということが、瞑想時だけでなく、ほぼいつでも感じられるようになった。全ての時間を、瞑想的に生きる。これはティク・ナット・ハンも言ってること。I live my life as I am meditating every moment.
そして、いわゆる座って静かにする瞑想だけではなく、ヨガに始まり(ヨガのTeachers Traingをここで受講して、レギュラーのクラスを英語で世界中の人たちに教えていたなんて、今でも信じられない!Fake it till you make it! )、呼吸のワーク(ブレスワーク)、そしてセクシャリティーのワークなど、全てを培ったのは、ここ、ノサラ。どれも私を私たらしめ、幸せに生きていくために欠かせない、大切なプラクティスとなった。そしてそれを世界とシェアすることで経済的にも潤い、満たされた循環を作り出すことが可能だ、という信頼と自信の広場に私を引っ張り上げてくれた「コーチング」という概念に触れたのも、ここノサラ。オンラインで、世界中どこにいても、仲間とつながって生きていけることを証明してくれたのも、ここノサラ。思えば、この6年で、私は本当に大きく変容した。小学校6年間をここで暮らした娘の変容ぶりも目をみはるけれど、私も彼女と同じく、大きく変わった。
私の一番のハッピープレイスは、ナランハという馬に乗っている時だった。丹田や生殖器に意識を持っていき、体の深いところで呼吸をしながら、この大きな動物とつながり、全身を脱力させ、普段よりもっとペースダウンすると、自然界のエレメントと一体化して、急激に体内システムが別オペレーションになるのが分かる。これが、本来の私のリズムと感覚だ。自然に笑みがこぼれ、これ以上、幸せなことって人生ないなって、いつも思っていた。あの感覚は、体の中に今もはっきりとある。願わくば、これからも、ずっと。
そんなコスタリカで培った様々な大切なことを、ぎゅぎゅっと詰め込んだ、オンラインプログラム、PRANA(プラーナ)もいよいよ、ローンチする。PRANAは、ノサラが教えてくれた、「幸せに生きる秘訣」を、日本のみなさんにも分かりやすく簡単に、1ヶ月の集中コースにシェアしたもの。どこにいたって、参加者のみなさんとともに、数々のプラクティスを継続し、これからも、ノサラで培ったアウェアネスを生きるんだ!
ここを離れるのは、とてつもなく寂しいし、本当にこの決断は良かったのか?と考え直す事もあった。でもまずは一番に娘の学習環境を優先したいし、そしてコスタリカよりもずっと深い歴史と文化を保持する、我が祖国、日本の智慧に触れる時が、またやってきたような気がしている。
何と言っても、娘が通っていたシュタイナー学校の素晴らしさと言ったら!この学校に通うために、ここで過ごしていたような気もする。お祈り、歌、リズム、ナチュラルな素材、季節や宇宙のめぐり、手仕事、心のケア、感情表現などなど。普通の学校では習得できない、とてもとても大切なことをバイリンガル環境で教わる小さな手作りの学校。先生たちから受け取った愛は、これからも娘の心をずっと照らし続ける。
新天地、日本。そして、その先へ。期待と不安が入り混じるけれど、とにかく自分の内側を整え続けながら、ゆっくりいきます。
ノサラで出会った世界中の友達たちよ、心を開いてくれて、ありがとう。
平和で豊かな自然の中、Pura Vida精神で生きることを教えてくれた、コスタリカ、ありがとう。
ともに常に旅している私の一番の先生、愛する人、娘テラよ、ありがとう。
ジャングル生活の大変さも、持ち前の楽観精神で難なく乗り越えた私よ、ありがとう。
生きている、生かされている、この命にありがとう。
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