2020年7月、黒人差別に対する抗議活動が激しいアメリカ、オレゴン州のポートランド。警官隊の前にいきなり全裸の女性があらわれ、踊ったりしたのち、大きく脚を広げて性器を見せ、抗議活動をする、という様子を、あるジャーナリストが撮影した写真とビデオが、twitter上で炎上しました。
みなさんは、これをどんな思いで見るでしょうか?
「恥知らず」「注目を浴びたがっているだけの、馬鹿な女」「精神病者」などなど、インターネット上では、罵る声もたくさん聴かれています。一方で「最も無防備で、無抵抗で、平和的な抗議行動」「強さと弱さを見せつける勇ましく美しい行動」など、絶賛の声も挙がっています。
私は、この写真と映像を見た後、なぜか涙が止まりませんでした。そして、YES!!!!と叫びたくなるぐらいの感動と勇気をもらいました。ちなみにこの後、警察官はこの女性に催涙弾を投げつけたそうです。すぐに別のデモ参加者がカバー、女性はそこからまた一歩出て、再び警察の前に静かに立ち、その後、警察は立ち去ったそうです。
女性器は、現代においては「汚い」「いかがわしい」「はしたない」などの意味を含んでいないでしょうか。日本語では「陰部」と呼ばれるように、隠すべき恥ずかしい部分という意味合いが強いですよね。話題にもあまりあがらず、というか、なるべく口に出さない方がいい厄介者扱い。(女性器の俗語「まんこ」は放送禁止用語だから、公では言えない!という制約もあるほどで)
そこに「女性器が、力を持っている」という概念はないに等しく、どちらかというと、弱くて、傷つきやすくて、痛みがあり、あまり見たくない、触れたくない部分というイメージの方が強いでしょう。
でも果たしてそうでしょうか?歴史をさかのぼってみると、世界中で実にたくさん、女性器パワーにあやかる事例があるんです。
さかのぼること、今から3万年前。古代バビロン、ギリシャの時代には、女性は超自然的なパワーを持ち、豊穣や多産、また危険な状況や敵から守る、守護神として崇められていたと言います。
またトルコでは、女性器を見せることで古代リュキアをポセイドンから守ったり、アイルランドでは150人の女性たちが性器を見せることでアルスター地域にて敵を退治したり、イランでは、ペルシャ兵たちが、女性がスカートをめくって性器のパワーを発令したことに力をつけて戦に勝ったり、メキシコでも同様の話。中国では清王朝時代、包囲攻撃者に対する最も効果的な抑止力は、経血であると考えられていたり(月経の深い見方については、こちらのブログ記事を)、アメリカのイロコイ連邦セネカ族やパプアニューギニアのバナチナイ島では、年長者の女性が性器を見せたり、スカートを脱いだ時が戦いが終了したサインを表したり、西ヨーロッパでは、女性の外陰部を現した裸体彫刻「Sheela na Gig (シーラ・ナ・ギグ)」が玄関や教会の入口にあったり。いやぁー もう、あるわあるわの歴史上の本当の話!
*Yoniverseオンライン講座のスライドより。
さらに近代になっても女性器のパワーを示す歴史は続き、特にアフリカ。マリ、ケニア、ナイジェリア、セネガル、カメルーンでは、近代の植民地政策や抑圧政権に抵抗する方法として、女性たちが服を脱いだり、性器を見せたりして、静かなプロテスト行動に出たり、本来の女性の力を発信する行為に出たりする例が、数多く残されています。
フィリピンではダムの建設に反対するために女性たちがサロンを脱ぎ捨て、フランスでも女性が性器を見せることで悪魔を退治、そのほか、ニューギニア、カタルニア、ロシアなどなどでも。日本も歴史を紐解いていくと、とても深く、実は神社の鳥居は女性の膣の入り口をかたどったものだとする説もあるほどです。
(それがなぜ「いやらしい」「恥ずべき」ものとして扱われるようになったのか。それにはキリスト教などの禁欲主義の台頭があるのですが、それはまた別のところで。Yoniverse講座でも解説しています。)
では、今この時代を生きる私たちは、女性器についてどんな思いを持っているでしょうか?
ポートランドの「全裸の女神 Naked Athena」が出現したのに時を同じくして、日本では「ろくでなしこさんの裁判」に関する有罪判決のニュースが、大きく報道されました。本名五十嵐恵さんは、こんな風におっしゃっています。
わたしは「女性器はなぜ、卑猥なものとされ、タブーとされるのか?」と疑問を持ち、そんな女性器のイメージを覆すべく、かわいく、面白く、笑えるような作品作りをして参りました。そして、裁判では「わたしの体の一部である女性器は、当然にわいせつであると判定されるべきではない」と主張し、わたしの体をモチーフにした物をわたし自身が表現する自由を奪う警察や司法に対し、異議を申し立てて来ました。
それでも「わいせつ物頒布罪(わいせつな内容が書かれた文章・画像などを頒布・販売・公然と陳列するような行為)」にあたるとされ、有罪判決。五十嵐さん曰く、「最高裁は、結局「女性器だからわいせつ」という、従来の古臭い価値基準から全く抜け出せなかった様です」とし、とても残念な結果となってしまったとしています。
でも、さすが女性器パワー!五十嵐さんは、「けいさつ、ありがとう」と書いたマスクで清々しくマスコミの前に登場し、「警察には、本来なら罰金刑で済むはずの軽罪なのに、不当に身柄を長期勾留された為、当初は恨む気持ちもありましたが、普通に生きていたら滅多にできない経験をわたしに与えてくれたという意味で、今は感謝しております」とコメントされたんですね。
いやぁー 、なんとも爽快。そして全面対立!という力で返すのではなく、あくまでも全てを包容する女性らしい大らかさと優しさと理解で包む態度。大和撫子も女性器パワーを失っていない!と嬉しくなったのは、私だけでしょうか。
私は女性器ヨニのパワーを女性自身が取り戻していく、Yoniverseという講座をやっていて、日本の女性たちと女性器について話すことも多いですが、みなさん本当に自分の性器について良いイメージを持っていない方が多い。それどころか、大概の人が解剖学や生理学的なことも含めて、全然知らないですね。自分の大切な体の一部なのに!
令和は、真の女性性を取り戻す!と、私の友人たちも方々で言っています。周りからそんな声が聴こえてくるようになりましたよね。そして女性自らが、タブーや社会通念から解放されたところで、自分の性器、自分の体とつながり直し、本来の美しさや力強さに立ち返ることが、女性を内側から輝かせ、ひいては社会の活力をあげていくことも知っています。
女性のみなさん、自分の性器について、どんなイメージを持っていますか?ポートランドの全裸の女性、またろくでなしこさんの活動を知って、どう思いますか?ぜひコメント欄に書いて教えてくださいね。全てはともに勇気を持って探求と対話を深めていくことだと信じています。そしてぜひニーズが合えば、Yoniverse講座にて、お会いしましょう!Power to the Pussy!
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セックス についてオープンに深く話す、毎週水曜日午後9時のLOVE LIFE SALONも、どうぞお気軽にご参加を!みんなで性のタブーをとかしていこう。
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