「世界中の人々の性生活を豊かにし、人を幸せにする」というミッションを掲げている、会社、TENGA。安全で機能的かつ衛生的な「セクシャルウェルネス商品」(セックストーイ、アダルトグッズ)などの研究開発及びその販売を行なっている会社ですが、ここが行なった性調査で、世界では最も快いと感じるもの1位は「SEXをする」が多い中、日本の1位は「美味しいものを食べる」という結果が、話題になっています。
最も快いと感じるのは、どれ? please rank how pleasurable each of the following activities are… と聞いたところ、、、(調査は、TENGAが実施した「マスターベーション世界調査(TENGA Global Self-Pleasure Report)」。ヨーロッパ、北米、南米、アフリカ、アジアの、世界様々な文化圏の18か国を網羅的に対象として実施したもので、18歳から74歳の1万3039人にアンケートを行なったもの)
こんな風に、世界では最も快いと感じるもの1位は「SEXをする」と言う国が多い中、日本の1位は「美味しいものを食べる」と言う、かなり特徴的な結果になっているんですね。これに対して、人によっては、「日本は食文化が発達しているから、日本人でよかったですねー」と言うトーンの方もいらっしゃいます(荒川和久さんの記事:日本人がセックスよりも気持ちいいと感じること )。
だけれども私と同じように「ん?これは見過ごせない!」と言う意識を持って書かれていた、こんな記事もありました。→イチハラシホさんの記事: TENGAの調査「最も快いと感じるのは?」他の国は1位がSEX、日本だけ5位の背景をまじめに考えてみた。
この方は、「特に気になるのが、どうして日本はSEXの順位がそんなに低いのってこと。もちろんいろんな理由があると思います。」とした上で、
SEXを「最も快いもの」とまで楽しめている人の割合が低い
日本人には愛の表現としてSEXは直接的すぎる?
単純に日本人にとってSEXの地位が低い
食べることの価値が高い
と言うような理由を上げていらっしゃいます。この中で、特に私が同意するのが、 1. SEXを「最も快いもの」とまで楽しめている人の割合が低い、と言うところ。これは、なんでなんだろう?そのことでおこる弊害ってあるのかな?もしセックスが大切だとしたら、どうしたらいいんだろう?と言うことも興味があり、考えてみました。
いずれにせよ、この調査結果は、ただ単に「セックスを楽しめてなくて、残念だね」「でも和食が美味しいから、幸せだよね」と言うことに限定されない、もっと深いことがあるんじゃないかなぁーと言うのが、私の立ち位置であり、問題意識です。
まず、この統計データも見てみて下さい。「パートナーの SEXに対する満足度」を聞いたところ、日本は、「非常に満足」と「ある程度満足」と答えた人の割合は、全体の41%で最下位、、、。日本は性産業が発達している一方で、セックスを楽しむカップルはとても低く(満足度もそうだし、回数やかける時間も最下位)、セックスレス大国、セックス後進国だ、と言うのは有名な話です。だから上記の結果も、当然と言えば、当然だと受け止められます。
じゃぁ、なんで満足度が低いの?と言うことで、いくつか探ってみます。そして大切なのは、日本社会やメディアでは「相性」とか「対位」みたいな表面的なことに話がなりがちだけれど、実はそこにはもっと本質的で大切な深い理由がある!と言うことです。
最近、特に指摘されているのは、これですね。”Come as you are” - The Surprising New Science that will transform your sex life” Emily Nagoskiと言う人の、セックスを科学的に解明して話題になっている本があるんだけれど、そこにもこんな一説があります。
“Stress reduces sexual interest in 80-90 percent of people and reduces sexual pleasure in everyone.” ストレスを抱える80-90%の人はセックスに対する関心を弱め、ストレスを抱える全ての人は、セックスを気持ちいいと感じる感度を下げる。
これはもうその通りだなぁ、と自分のことと照らし合わせて考えてみても、よく分かります。みなさんもそうですよね、常にストレスで頭がいっぱいいっぱいだと、体の方に意識が向きにくい、つまり感じにくい。幸福感や自己肯定感も低く、誰かとゆっくり交わることに心地よさなんて感じない。どちらかと言うと、面倒で、苦痛で、やることリストの内のもう一つチェックをつける、義務感でやらされると言う人もいるかもしれません。
じゃぁ、どれくらいの人がストレスを感じているかと言えば、まぁストレスのない人なんていないんじゃないかとも言えそうですが、念のため統計を見てみると、日本人の80%は職場でなんらかのストレスを感じている、通常の生活でも60%の人がストレスを抱えていると言われているんですね。そんな状況だと、心も体もリラックスして相手と深い時間を過ごそう、なんて到底、そんな気持ちになれません。
ちょっと「瞑想(メディテーション)」と似ているかもしれません。ストレスのある人って、頭がグルグルしていて、瞑想できない。私も自著で「セックス は究極の瞑想だ」と書きましたが、ストレスがある人は、セックスできない、できたとしても楽しめない、快さを感じにくいんですね。「男性は勃たない、女性は濡れない」と言うことにつながってきてしまいます。さらに付け加えておくと、うつ病患者が摂取する抗うつ剤の一番の副作用は、「性欲を下げる」と言う研究結果もあります。
セックス を楽しめない要因の一つに(これもストレスの一種に含まれるとも言えるけど)、自己肯定感や、自分の体へのイメージも関係していると思います。特に女性の場合は、「細くなくちゃいけない」「女性器は汚らしい」などと言う刷り込みが歴史的にも長くあるけれど、そんな状況で心も体もリラックスして開ききることができるはずがない。“7 tips for better sex”と言うこちらの英語の記事でも、そのことについて言及されていますが、再度、Emily Nagoskiの言葉を借りると:
“How you feel about your genitals … is learned, and loving your body just as it is will give you more intense arousal and desire and bigger, better orgasms.”
あなたがどんな風に自分の性器を捉えるか ー それは学び直せるものです。今そのままありのままの自分の体を、肯定的に受け止めること。それこそがあなたに情熱や性欲をもたらし、より良いオーガズムを与えてくれるのです。
日本人は自己肯定感が低いとも言われるし、ほかの人と比較することが多く、自分はどうなんだろうと言う思いが先に立ち、自信を持って自分自身を受け止めている人、ましてや自分の体を愛してあげてる人って、少ないのかもしれません。これだとセックスが楽しめなくなっちゃうのも、うなづけます。
上記のポイント以外にも、こんなことが日本人がセックスを楽しめない要因に挙げられるかなぁーと推測しています。
健全な性教育がなかったし、セックスについて見よう見まねで探求するしかなく、手探り状態の人が多い(セックスも「こうあらねばならない」(例えば、「女をイカせないといけない」みたいなプレッシャーを感じてしまう男性も多い。そんなことないのに!)
各家庭の居住空間が狭く、(特に子供がいたりすると)ゆっくり交わる場所が限定されてしまう。子どもをベビーシッターに預けて、夫婦も定期的にデートみたいな文化も浸透していない。
セックスに関する悩みや疑問について、オープンに話したり、学んだりする場所が少ない
夫の帰宅時間が遅い、妻は家事育児でヘトヘトなど(これはストレスの一種かなぁ。そしてどの国も同じ気がするけど、日本の勤勉さみたいなのもマイナスに関連しちゃってるのかなぁ、と。)
「セックスを楽しむ人が少ないのって、そんなに問題なの?」と言う方もいるかもしれません。まぁ、別にね、セックス をしていなくたって、幸せな人だっているでしょうよ。ただ、こんな指摘をしている性科学の医師もいるんですね。
「あなたの性欲レベルは、人生への情熱のベンチマークです。つまり性欲と言うのは、あなたの全体的な活力と幸福を示す、とても大切な指標なんです」
確かに考えてみると、性欲と言うのは、命を生み出すセックスと言う行為と結びついている訳で、それこそが生命エネルギーと言える。だからこそ古代から色々な哲学や体系化された健康術のもと、性エネルギーを高める・耕すプラクティスが盛んだった訳だし、例えば「歳を経ても性欲が強い人は、肌つやが良かったり、元気だったり、声が大きかったり、全体的なエネルギーも高い」と言う傾向もありますよね。
だからそう言う意味でも、あまり性欲がない、セックスを楽しんでない日本の現状って、全体的な生きるエネルギーが低下している、つまり多くの人がゾンビ化している!?と言う由々しき事態だとも捉えられるんじゃないでしょうか。
セックス を楽しまない背景に、自己肯定感の低さがあると書いたけれど、自分に対してネガティブ・トーク(私はダメだ、、私はこれが嫌い、、、私には出来ない、、、など)をしていると、どんどん生命エネルギー(イキイキさ、生きる活力)が低くなってきてしまって、自己免疫力が低下してくると言うことも分かっています。逆にセックスをすることで免疫力が上がる、つまりセックスをすると風邪をひきにくくなる。そればかりか、心臓疾患や前立腺がんのリスクが軽減される、更年期障害の症状も緩和される、と言う統計もあるんですね「この世で、唯一の万能薬はセックスとする」、こんなブログ記事もありました。
じゃあ、こう言う事態を一体どうやって、個人的にも、社会的にも対応していったらいいんだろう?私に魔法の杖があるわけではないけれど、上記のような理由がセックス を楽しめなくしているのであれば、それを解消する方法を試してみたらいいんじゃない?と言う当然のリバース・エンジニアリングの観点から語ってみましょう。
これは言うが易しで、それこそライフスタイルを真っ向から見直すことにつながる場合もあり、人それぞれやり方があるでしょうから、ここで書き尽くせることではないけれど、強いて言えば、「仕事量を減らす」「どんなに忙しくてもセルフケアの時間を確保する」「運動する」「スマホやスクリーン時間に制限を設ける」「(なるべく)やりたいこと以外はやらないようにする」「瞑想を日課にする」「パートナーとのデートの時間を(何がなんでも)スケジューリングして、大切に過ごす」などが、さっと思いつくこととして挙げておきます。
これも一筋縄には行かないことだろうけれど、自分に対して愛あるメッセージを発してあげることは、生きていく上でとても大切なことです。どんな自分も、どんな感情も受け入れてあげることができるようになるといいですね。さらに私が実践していることとしては「毎朝、感謝の日記をつける」「なるべく裸になる機会を設けて、自分の体を見つめ、肯定的に受け取るようにする」などもあります。
大人の性教育をする場所って限られているけれど、それでも性について学び直し、そしてオープンに周りの人と話し始めるのに、いつだって遅いことはありません。セックスのことは「低俗だ」「下品だ」とする傾向がまだあるかもしれないけれど、いやいや「セックスの話しこそ、今、知的に大胆に真面目にする人こそ、意識の高い文化人だ」とする風潮も出てきました。
私は「セックスが調うと、人生が調う」、またその逆もしかりで「人生が調うと、セックスが調う」と言っています。これからも定期的に、セックスの話し、関心のある人たちと深め調えていきたい!そう思って、 FBのコミュニティーやらオンラインコースなどもやっています。ぜひメルマガにもご登録くださいね。皆さんの生命エネルギーを高めていくことの一助となりますよう!
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